THE LIVING DEADアーティスト: BUMP OF CHICKEN,藤原基央出版社/メーカー: トイズファクトリー発売日: 2004/04/28メディア: CD購入: 3人 クリック: 77回この商品を含むブログ (296件) を見る Happy Rebirthday To Youアーティスト: KAMOMEKAMOME出版社/メー…

併走

何の音もしない、静かな部屋だった。中心には椅子が据え付けられていて、正面に投射された映像では一人の男が右に向かって延々と歩き続けていた。僕はぼんやりと椅子に座る。そうして映像に向き直る間も、男は歩き続けていた。 男が歩く向こうでは、様々なこ…

ペイジワンゲスト一覧表

藤井ペイジ(飛石連休)主催のライブ「ペイジワン」「ペイジワンR」「ペイジワンZ」のゲスト一覧です。企画コーナーのアシスタントのみ参加や飛び入り参加も記載しています。 ライブ名 日時 ゲスト ネタプロデュース ペイジワン Vol.1 2009.06.02 大輪教授、…

「一人の芭蕉の問題」

昼間、どこかの市で最高気温の記録が塗り変わっただとか、そんな話をしているテレビを消して、リュックサックを持った一人の芭蕉はゆっくりと玄関を出た。もう一人の芭蕉を探すためである。 アパートから駅までをつなぐ、国道沿いの一本道はもう静まり返って…

「虚実のあわいとかいう表現を最初に考えた奴を窓から投げ捨てたい」

いやさ、その、ちょっと前から、怪談書いてるとかっていう話してたでしょ? で、それは創作で書いてるんだけど、怪談には実話っていうジャンルがあって、要は「新耳袋」みたいなさ、これは誰々さんから聞いた話で……、みたいなのがあってさ、そういうのも、ち…

浜口浜村単独ライブ「浜口浜村か?」

浜口浜村のネタが初めて「刺さった」のは2012年11月のライジングオレンジで、ジグザグジギーや三四郎が気になって観に行ったライブだった。それ以前にも何度か観たことがあって、気になる存在ではあるけど、ひねったネタをやるコンビ、以上の印象はなかった…

コアバラエティの平成史(の一断面(についての一考察))

1,「テレビ誕生100周年記念番組/テレビ東京・CBB共同制作」 黒く塗りつぶされた背景のもとに浮かび上がる白い文字で、「ジョージ・ポットマンの平成史」は始まる。2011年7月に特番として放送されたのち、2011年10月から2012年3月まで放送されたこの番組は、…

「代替わり」

かつてあの鼠のいた部屋にはいま、私の夫が座っています。

「SIGHT」

かつて「弓形の夜」の場として栄華を誇っていたダイナナクは、すでに廃墟と化している。この場所に中枢機能を集約させていた企業、弦月が崩壊してからというもの、ダイナナクは他のクで行き場をなくした浮浪者がたどり着く場所になっていた。 ダイナナクに滞…

「つくる」

部屋の中央にある緑色の球体に触れると、照明が消えた。と、同時に、小さく音楽が聴こえ始める。どこかで聴いたことがあるような気がする、ピアノの独奏。そのなかで、球体に塗られた蛍光塗料だけが、ぼんやりとした光をまとっている。 やがて、球体は変形を…

「×い××」

墜ちていた。もの凄い早さで、大手保険会社の本社ビルの屋上から。誰もそれが何であるか、認識することができずにいるうちに、何かが潰れる音がする。形を保っていたものが、一瞬のうちにかかるあまりにも強い衝撃によって、何でもないものに変わる徴。たと…

「【人】」

夜の公園の、奥まったところにある森のなかで、落ちている悪意を見つけた。 悪意を身体に【入れる】と、それは自分のなかに染み込んでいく。完全に【入れる】ことができれば、それはワクチンのような役割を果たし、他者からの悪意への抗体となる。そうなれば…

「やがて夜が明けて……」

世界が断線したようなので、久しぶりに外出することにした。 一瞬のうちに《律》が断たれたということで、猫は八本脚になっていたし、駅前の十字路は葡萄畑になっていたし、人間は完全な球体になっていた。まだ高校に通っていたころ、毎日立ち寄っていた大型…

「質疑応答」

どこかに出かけようとするクレインは、わたしに行き先を教えてくれない。でもわたしは知っているから、問い詰めない。今、彼は着る服に迷っていた。色合いや、その日の微妙な気温の変化について熟考している。漆黒かわずかに茶色がかったものがいいのか、生…

「それが雪だった時に」

新しい言葉がたくさん落ちていた。全部拾い上げて、自分のものにする。言葉を交番に届けなくてはいけない、という決まりはない。口下手な自分が人と滑らかに会話するには、こうするしかないのだ。 しかし手に入れた新しい言葉たちをうまく使いこなすことがで…

「夜と街(打ち捨てられた)。」

何かの手違いで滅びなかった街がある。その街をのぞいてすべては滅んでいるので、数十年、数百年という長いスパンで見ればいずれは滅びるのだろうが、いまはまだ生き延びている。その街の外れに小さな公園がある。整備されることもなく打ち捨てられたも同然…

「410 Gone」

手の中にある小さな箱、それを見てわたしはわずかに溜息を吐いた。ラッピングのためのリボンに挟まっていた紙片には、《お返しです》と丁寧な筆跡で書かれている。その言葉が何を意味するのか、はじめは本当にわからなかった。もう何週間も他人とまともに接…

「聞こえますか?」

……先輩! どうしたんですか、聞こえないんですか? そんなことより、仕入れたんですよ、あれ! ……いやだな、へ? って顔しないでくださいよ。蒐めてるって聞きましたよ、噂で。お前に漏れるようなところに話したつもりはない? へえ。まあでも、どこからか伝…

「enable」

整然と配置されたそれぞれの地区は、お互いに良い影響を及ぼしあいながら発展を遂げていた。ほとんど停滞することなく市の人口は増え続けていた。市民はみな市長であるわたしに感謝していた。わたしが何を考えているのか知ることもなく。 ――……。 耳障りな警…

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Silent Night

夕暮れの空がゆっくりと降りてゆき、いつしか地面になる。なんだかふわふわした地面にはもう道路と歩道の区別すらなくなり、自動車や自転車や歩行者、あるいは動物、人に非ざる者、その他大勢が入り交じり、重なり、倒れていく。人や車や霊体の屍が散らばる…

ビーケーワン怪談大賞投稿作品(全-1)

第6回「慰霊碑」 高校に通学してたとき通っていた公園には、関東大震災の被災者が祀られた慰霊碑がありました。この公園に避難した数万人に及ぶ近隣住民は、火炎の竜巻に包まれて残らず焼け死んだのだといいます。この高校に通っている生徒なら、毎年のよう…

カラスヤサトシ「結婚しないと思ってた」

「結婚しないと思ってた」をなぜ自分はあれほど面白いと思ったか、ということについて考えると、この作品が恐ろしく複雑な構造をしていることに考えがいたる。なにしろ、200ページ中150ページが恋愛に関するルポマンガで、残り50ページが現在の奥さんとの馴…

嘘くせえとか陰謀とかいうけど、個人的にはこのこと以上に「3.11以降のリアル」という、あるんだかないんだかわからないものを感じさせる出来事はなかった。

2011年01月の読書メーター 読んだ本の数:13冊 読んだページ数:2441ページ▼1月に読んだ本一覧 http://book.akahoshitakuya.com/u/4466/matome

アルゴリズム失踪

弾けた、すべてが。頭の中が、部屋が、街が、社会が。 その中心にあったのをものをここでは仮に《でれん》と呼ぶ。《でれん》は常に定められた行動を強制されていた。たとえば《ぞろん》によって強制的に労働に従事させられていた。《ぐぎょん》によって強制…

今日はいろいろな話を聞いた。なお、以下「部署」と記している単語は正確には異なるが、わかりにくいのでこう表記する。1.教育係の先輩「貴様が現在いる部署は今もっとも忙しい」 2.部署の上司「今交渉している案件がすべて成立した場合、仕事量が現在の3倍…

一口に『テレ東の深夜番組』と言っても、「おねがい!マスカット」と「アリケン」と「流派-R」と「アニソンぷらす」ではまったく違う。しかしそのどれもが「テレ東にしか出来ない番組」であるという点が、テレ東の絶対的な魅力であるのだと思う。

「ジャガイモン」#23 『いとうゼミ』

昨日の夜、たまたま観た*1「ジャガイモン」#23『いとうゼミ』がとても面白かったので、久々に日記を更新することとします。 そもそも「ジャガイモン」はかつてテレ朝で放送されてた「虎の門」の実質的な後継番組としてCSテレ朝チャンネルで制作されているも…

しかし、エピソードトークによく出てくる「バーと行って」という表現はいったいなんだろう? わたしたちは移動するときバーなどという効果音はもちろん出していないし、その動きのどこにもバーの要素はない。なぜバー。なぜバー。なぜバーなのだろう。