Silent Night

 夕暮れの空がゆっくりと降りてゆき、いつしか地面になる。なんだかふわふわした地面にはもう道路と歩道の区別すらなくなり、自動車や自転車や歩行者、あるいは動物、人に非ざる者、その他大勢が入り交じり、重なり、倒れていく。人や車や霊体の屍が散らばる。そこへ新たに空が落ちてくる、今度は朝焼けが。流れ出る血液やガソリンや魂で赤黒く変色した地面は、覆い被されて見えなくなる。同じことが繰り返されて、あらゆるものの死が積み重なった塔はその高さを増していく。ずっと。