永井するみ/カカオ80%の夏

うむ。出来は良いのだろうし、少なくともだれることもなく読み終えたのでまずは問題なし。……しかし、これはおれに読まれるべき小説ではないような気がする。
云うまでもなく、登場人物に共感したりその思考にコミットしたりすることは、小説を読む目的として唯一〈正しい〉とされるべきものではない。しかし小説をそれに最適化してデザインすることは可能だし、この作品はそのように書かれたものではないかと思う。そのうえでおれはこの作品を届けられるべき人間ではないと。
まあ、なんていうか、云ってしまえば顔がいい人たちの物語だしねえこれ。

カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)

カカオ80%の夏 (ミステリーYA!)