「無頼平野」

時間を訊きにシネマヴェーラに電話したとき、同時上映がこれだというので「どんな映画ですか?」と訊いたら物凄く口ごもられたのだが、見終わったあとではその理由がわかる。
基本的にはヤクザ映画なのだが、異様なほどの展開の速さやおそるおそる「それはギャグですか」と問いたくなる台詞や行動、見終わってみると最初以外本筋にさっぱり関わらない佐野史郎パート、突然出てくる大槻ケンヂなど、幻惑されっぱなしのうちに終わる。
「恐怖〜」ではさらに歪んで表出するのだが、例えばこの映画のことをエログロナンセンスと表現するとき、その三つは対等ではなくて、エロもグロも結果的にナンセンスという虚ろな空間に吸収されているのではないかと思った。