他人の感想の集積は力を持ちうるのか――「ヴィーナスの命題」感想リンク集

あれだけやめるやめるいいながら、やっぱりやる。

あとね、「他人の感想を読みたい」人なんて、いない。
「あの人は、どんな感想を抱いたのか、気になる」が正解です。

http://d.hatena.ne.jp/iris6462/20070731/1185888953

もしかしたらずれているかもしれませんが、「他人の感想」だけで、その本を読みたいと思わせることができたなら、この思考は否定されうるのではないでしょうか。新刊で安価なライトノベルであれば「特定の誰か」の感想を読むことはほぼ可能でしょうし、そのほうが有益ではあるでしょう。しかし、もう手に入らず、文庫化もされていないミステリではでしょうか。「ヴィーナスの命題」は2000年に出版されたミステリです。一瞬話題になりましたが、文庫化もされず、絶版の憂き目にあいました。著者の真木武志はこのデビュー作以降作品を発表していません。はてなでの言及は9件。ただし、そのほとんどは「長門有希の100冊」に選ばれたがゆえの言及です。
しかしこの本は、それこそ最近やはりのしんせーしゅんえんたとか、そういう感性に通ずるものを持っているだと僕は思っています(この一連の話題の中心にある、ライトノベルサイトのひとたちにもアピールできるものだと思っています)。以下の感想リンクを見てもらえば判るとおり、決して傑作とはいえない本です。ですが、7年前に、このような本が出版されたということは注目に値するのではないでしょうか。
たとえば僕がこの作品をほかの人にも読んでもらいたいとします(実際読んで損はしないと思っています)。しかし、僕は面白い人ではありません。そのときに、他人の感想を集積することで、アピールが可能になるのではないでしょうか。
そういうわけでこの感想リンクは「訴求力」を重視して作られています。引用箇所が被引用者の意を捻じ曲げていると感じられた方は、コメントなどで連絡していただけると幸いです。

ヴィーナスの命題

ヴィーナスの命題

佐藤友哉ではエナメルが一番好きだ!と云う人にお勧め。

http://d.hatena.ne.jp/firstheaven/20061012/1160672544

小説のスタイルは、一般の小説やミステリーから見るとライトノベルやPCゲームのシナリオに近いが、後者から見ても明らかに差異がある。登場人物(キャラクター)を立てようとしている姿勢が見えるが、ここ数年の後者の作品と比較すると不十分と思える(演出上意図的に隠している部分を除いても)。

http://d.hatena.ne.jp/fuzzy2/20061105/p4

B「そーんなタワ言は認めないね。この、とことん鬱陶しいガキたちの空理空論めいたやりとりにもうんざりだけど、それ以上に青春小説部分への作者の過剰な思い入れと洒落臭い技巧が、本格ミステリとしてのもっとも基本的な部分を損なっているように思えてならないわけよ。ブンガクなら他所でやってくんな、ってね!」

http://www.cc.rim.or.jp/~yanai/GooB56.html

誰もが通り過ぎる青春時代の甘酸っぱさや苦さ、痛みという有体なものよりも、その根底に潜む闇の部分が記憶の片隅からよみがえる。

http://lisalisa.jugem.jp/?eid=153

特に作中の誉めあいがどうも鼻につく。登場人物同士がお互いを天才だと認識していても、読者がそうだと納得しなければ、それは作者のひとりよがりにしかならないでしょう。それに青春小説としておとしたいのなら、途中の推理小説的ひねりはいらなかったように思う。事実、再読したときは、個々の登場人物の役割がはっきりして青春小説としてのやりとりは非常に輝いていたので、それだけに残念です。

http://www.alles.or.jp/~tsuruba/proposition.htm

読み返しても真相の総てがクリアになったわけではないのですが、たぶん、この物語自体は嫌いじゃないです。
生徒たちが「こんな高校生いないでしょ?」な感じも好きなはず。
じゃあ何が?・・・きっと文章や会話の感覚が私と合わないのだと思います。こればっかりは好みなので・・・。

http://www2.wbs.ne.jp/~tsukiura/book0011.htm

問題が有ると言えばありすぎなんです。登場人物が誰が誰だかわからなくなるし、地の文が誰の視点なのかも曖昧。薄い本ながらさーっと楽しく読めるという本ではありません。

http://www.asahi-net.or.jp/~fg4h-ktgr/book/archive/200010.html

おそらくもう他には読めないだろうけど、それでもただ1冊、この1冊をもって作者は世に溢れる他の90パーセント数百冊分の仕事をしたと思う。

http://d.hatena.ne.jp/capskana/20061027/p1

たしかに高校時代の心理なんてそんなものです、他人には他人をわかることなど出来ません。そういった複雑なものを文章にし、また答えを出そうなんて、難しいです。

http://www.big.or.jp/~fool/review/data/review_xxxxxxxx_73.htm#vi

個人的評価としては、「青春ミステリ」の傑作になり損なった実験作、という印象から最後まで離れられなかった。スピリットと思い入れだけではエンターテインメント小説としては、まだまだ不十分だということ。

http://www.h4.dion.ne.jp/~fukuda/kyu/0206hon.htm#020610

その誇張されたキャラクター造型も、気取りが目立って読みづらい文体も、ひねくれたプロットも、何もかもがメフィスト賞向きの作品で、どう考えても送る場所を間違えたとしか。

http://members.jcom.home.ne.jp/myoga/D2003/diary0311a.htm#d031114

登場人物それぞれの視点から物語が語られるんだけど、省略されてる言葉が多くて解りづらいよ。あと、高校生にしては非常に老成した考え方をもった人物ばっかり。現実の高校生なんてもっと何も考えてないだろ?。←言い過ぎ?。

http://homepage2.nifty.com/sumitako/nikki0204.htm

間違い無く一般受けしない内容だが、面白い。リアリティはないが存在感は十分の生徒たち。提示される魅力的な謎。そして、決定的な解答を読者が見つけなければいけないところもいい。ラストも、「密閉教室」よりはるかにいい。さあ、年末の評論ですこしでも話題になるかなあ。

http://www2.odn.ne.jp/~cdh96170/diary200011b.html

ミステリはエンタテイメントである。哲学でも倫理学でもない。読み通すだけの努力を強いる小説は、単なる出来損ないに等しい。

http://tokyo.cool.ne.jp/meikyu/art00/asi0012a.html

何度も読み返している作品というのは他にいくつもあるのですが、1度目に読んだ時ととくらべて2度目に読んだ時にこれだけ面白さが増した作品はあまりなかったですね。

http://utata.s18.xrea.com/200404.html#04_t2