永江朗「批評の事情」を読んだ。

で、批評(あるいは小説)がなんのために存在するかといえば、それはたぶん「一色に染まらないため」なんだと思う。思想でも気分でもなんでもいいけど、社会が何かひとつの色に染まろうとするときに違う視点を提供するものとして、そういったものは存在しているのだろうと思った。だから、もし批評とか小説とかが圧倒的な支持を得て、誰もがそれを支持するようになったら、それは批評とか小説じゃなくて、何かもっと別の不気味なものでしかなくなってしまう。

批評の事情 (ちくま文庫)

批評の事情 (ちくま文庫)