両方の手の中指の先に、小さな翼が生えていた。風が吹いてもそよぐ気配も見せず、もちろんそれで飛べるわけでもない。むしろざらざらとした感触が不快だった。剥いでしまいたくもあったが、傷が付きそうでそれもできず、そのまま放っておくしかなかった。 あ…
あらかじめ言葉が喪われた砂漠に、ひとりの少女が立っている。 砂に埋もれた貝殻を手にとって、耳に添えると、わずかに音が漏れる。 それは記憶。 海ではなく、言葉の記憶。
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