佐々木譲/警官の血(下)

これはいい裏赤朽葉ですね。個人的には中年と若者、というよりは男と女の対立……でもないけど、違いが色濃くこの二作には現れていると思った。そして、まったく違った価値観のもので進行するこの二つの小説はどちらも、“いったい何が殺人として罪に問われるべきなのか”という問いかけで終わっているように、個人的にはだが感じられる。それが移り変わりゆく価値観をもっとも象徴する問いだからだろうか。実際、二つの小説における謎の解決は、そのよって立つ場所の違いを明瞭に示しているように思われる。

警官の血 下巻

警官の血 下巻