伊藤計劃/虐殺器官

軍事SFの骨格をセカイ系(笑)で語って、でもなおかつたんなる自分語り小説とは肌触りが違うのは、9.11以後の批評の問題意識を、あるときはそのまま、あるときは《罪と罰》という普遍的な言葉に置き換えて作品内に包括しているからだろうか。変な話、あ、エヴァ観ようかなと思った。《力あるもの》が力を行使する葛藤を描いた物語と考えたとき、9.11を隔てて、そこに何がしかの違いがあるのかもしれない。ていうか、ブログ的な自分語りっていうか。うーん。
また何か書くかも……とりあえず今、多かれ少なかれ「現在」を小説を書こうとする人間は、従わなくてもいいけど、一度は向き合っておくべきな、そういう書き方がこの作品にはなされている気がする。

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)