A・D・G/病める巨犬たちの夜

ヒッピーと仲良くするとろくなことがないという話(違います)。
このレビューにある「ダシール・ハメットアガサ・クリスティがフランスのど田舎農村で出会う」というのがほとんどそのまんまあてはまるというすさまじい小説。最初は死ぬほど読みづらかったが(おそらく翻訳のせいでもあると思う)、村人のキャラクタがつかめてからは面白く読めた。ただ、物語を構成する要素が少しずつ田舎者によって脱臼されていくのでストレートなカタルシスは望みづらいけどね。
これは与太話なんだが、nous(おれたち)が、ラスト、(そもそも放置されていたんだが、これ)事件の犯人として指名されるにあたって、je(おれ)に限定されるっていう、テキストの人称を利用した仕掛けは、なんだか当時のフランスの状況やヌーヴォー・ロマンのありかたにも重なってこなくもないよね。とか。まあ、ヌーヴォー・ロマンなんて一冊も読んだことないんだが。
今はだいたい5000円〜20000円くらいで取引されてるみたい。ふーん。