道尾秀介/シャドウ

道尾始まったな(遅い)!
大ネタのひとつはある程度までは明らかにおかしいところがあるのですぐに気付く。つーかこのネタでショートショート書いたことすらあるし。ひとひねりあるので感心したけど(というか、そこまで気付かれるのは最初から織り込み済みなのかも。そうするとすっかり完璧に引っかかったことになる)、そのへんも含めて扱いが雑なのは気になった。仕方ないのかもしれないけどね。
しかしそれ以外の部分はほとんど完璧じゃないですか。はっきりいって凡庸といってもいいアイテムをこれだけ並べてなおかつここまで読ませるのは、ひとえに鳳介の語りによるところが大きい。別にこれ中学生で良くねと思ってたんだけど、いやそんなことないね。頭良すぎるきらいがあってもこれは小学五年生で語るべき小説であった。
しかし一歩間違えればただの偏見と安いメッセージをありがちなトリックで語るというどうしようもない作品になりかけてたと思う。あぶないあぶない。いや、別に「片眼の猿」のことじゃないよ。

シャドウ (ミステリ・フロンティア)

シャドウ (ミステリ・フロンティア)