久しぶりに

かつて卒業した小学校に足を向ける機会があった。場所そのものは徒歩数十秒の所にあるのだが。
用事を済ますでもなく済ませたので、校庭をぐるりと一周してみることにした。……小さい。鉄棒、靴箱、水槽、校舎そのもの、今はもはやばらばらでぼやけたものになった記憶の背景は、やたらに小さかった。校舎の玄関の前で、あの頃と同じ色をした内部を見つめていると、見たことがあるような男が声をかけてきて、目的の場所は向こうだと云った。卒業生なので見て回っていると云うと、彼は笑っていなくなった。