泡坂妻夫/妖盗S79号

タイトル通りの連作短篇集。
少なくとも現代において怪盗ミステリなんてものにお目にかかることはあんまりない気がするが、それをやすやすとこなすが名匠たるゆえん。トリックは小粒ながらも(まあ、当然)ツボをついているし、東郷と二宮の警察コンビの掛け合いもナイス。飽きない。実際気を抜いて書いたような感じだし、他に傑作が山ほどある作家なんでわざわざ探して読むもんでもないが、楽しく読んだ。気は抜いても手は抜かない、これこそが職人芸。堪能。