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氷川透「各務原氏の逆説」を読んだ。非常に不快だった。章扉になんの屈託もなく(いや知らないが)ミスチルを引用したあたりから厭な予感がしていたが、読み始めてすぐこの作品の語り手が僕がもっとも嫌悪するタイプのものであることに気付いた。つーかなんだこいつ。読み進めるごとに嫌悪感は増していくばかり。いい加減にしろ。 ね。せめて自分の自意識が醜いものであると知ってくれ。中ほどまで来て、この作品がチェスタトンへのオマージュであるなら、「青い十字架」ではないかと一瞬だけ期待をかけたのだが違った。糞。いや、もちろんこの鼻持ちならない語り手になにも制裁が加えられないわけではない。しかしある意味で、それはより悪いものだ。こいつに加えられる、セイシュンノニガミみたいなものは結局、こいつのゴミのような自意識をほんのりと肯定するものでしかなりえない。結局語り手はなにも変わらない。ゴミみたいな自意識を飼いならしてゴミのように生きていくだけだ。本物の苦味というのは、口に入れた瞬間に吐き出してしまうようなものだ。こいつにはそのようなものがふさわしい。そして俺にも。ミステリ部分?知らね。
- 作者: 氷川透
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2004/05/18
- メディア: 新書
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